Sushinista 創業者 西川 裕一

 

 人口約10万人都市のバークレーは全米最も政治的・社会的に発展した都市として有名で60年代ヒッピー発祥の地としても有名だ。UC Berkeley 、ローレンス・バークレーラボなどアカデミックでも全米で群を抜いた存在がある。バークレーハイスクール前に2016年12月にひっそりオープンしたSushinista。オーナーシェフのヒロ さんこと、西川 裕一 (Hirokazu Nishikawa)さんは、駐在員から起業の道を選んだシリコンバレーでも数少ない一人。駐在員というステータス、あなたは捨てられますか?

店内はレンガ造りのシックな雰囲気。地元バークレー産の食材を使った地産地消にこだわっている。

*2015年3月に23年間勤務された宝酒造、宝酒USAを退職され、「大企業の駐在員」という大きな看板を外されました。

 小さい頃から飲食業に興味と憧れを持っていました。というのも、祖父が京都で80年前に始めた割烹料理店に物心ついた時から出入りし、学生時代にはアルバイトをしたりしたためで、飲食業が常に身近で、いつか自分でも店を持ちたいと昔から考えていました。

 一方で、学生時代から音楽や様々な文化を通して、海外、特にアメリカで生活したいという気持ちを持ち始めていた。

 大学卒業後、宝酒造に就職。入社後11年目に海外事業に関わる部署に異動、4年後に、アメリカの子会社で駐在員として働くことになりました。駐在中の7年間、仕事柄、飲食店経営者の方とお会いする機会がたくさんありましたが、そうしているうちに、このアメリカで自分のお店を持ちたい、という気持ちがどんどん大きくなりました。

 もちろん、随分と悩んだのですがトライして失敗するよりも、このままあきらめてやらないほうが一生後悔するかなと… そう考え、思い切りました。大企業の駐在員という事で会社関係やクライアントの方々など関係者にはご迷惑を掛けたのかもしれませんがそれ以上に周りの皆さんが応援をしてくれて・・(涙)。

 私のわがままを受け入れてもらって、家族、友人、同僚には今も感謝の気持ちでいっぱいです。

*米国でのあこがれのレストラン経営、実際の経営とのギャップはいかほどに?

「常においしいものを提供し、お客様の笑顔を見る」ということに喜びを感じるのは、一人のスタッフであっても経営者であっても同じです。ただ、経営者という立場だと、当たり前のことかもしれませんが、お店に関わることに、より気を巡らせなければいけません。

 スタッフの健康や精神的状態、材料や設備・器具の状態、衛生・清掃管理など挙げればきりがないです。いつもウロウロ、キョロキョロしてますね。それら全部に目を配り、気を張り巡らせるのは大変ではありますが、お客さんから「おいしかった、いいお店だね」と言われるとそれがやる気に変わります。

 バークレーハイスクールの目の間に店舗という事もありランチは高校生でいつも賑わっています。地元のお客様に長く愛されるようにしたいですね。

毎日ランチタイムはバークレー高校の学生たちで賑わう。

*西川さんのゴール・夢を教えて下さい。

 今、店があるバークレーという街をとても気に入っています。でも世界には自分が気に入る街がたくさんあるはずで、そういうところに行きたいし、暮らしてみたいと思っています。そして、そこで自分の店を持つのが夢です。

 今は、スペインのバルセロナ、ハワイのマウイ島に店を持つために日々頑張っています。昨年12月に2店舗目をBart Station近くにオープンさせました。少しずつですが店舗展開をしてゴールに近づきたいですね。

*起業を考えている方、特に駐在員で日本からきていてアメリカに残ろうか考えている方に一言お願いします

 まだまだヒヨコ状態で偉そうなことは言えません。あえて言いますと、起業に年齢制限はありません。一緒にがんばりましょう!!会社関係の方も最後は必ず応援してると思います!
 

オーナーシェフの西川さんは毎日キッチンに立つ。

私の人生に多大な影響を与えたのは、前述の祖父(母方)。80年前に京都で「板前割烹」という新しいコンセプトの店を始めました。また、父方の祖父も。京都で丁稚奉公から始め、和装小物卸業の会社を設立しました。あとは父です。その祖父の会社を引き継ぎ、厳しい和装業界の時代を、経営者として会社存続、発展させました。私はサラリーマンから人生を始めましたがいずれ起業する運命だっだのかもしれません(笑)。