Capy 創業者 岡田 満雄

インターネットに繋がらない日は全くないというほど我々にとって欠かせない存在になった。 サーバーがダウンしてネットに繋がらないだけでも仕事が進まない人も多いのではないだろうか。そんな時代にIoT市場と同様に拡大しているのがサイバーセキュリティ市場だ。

JETROの地域・分析レポートにも世界のサイバーセキュリティ市場は年々増加しているというレポートがある。


世界のサイバーセキュリティー市場予測出所: Statistaよりジェトロ作成引用


日本のサイバー・セキュリティサービス市場規模推移および予測

拡大するサイバー・セキュリティ市場に目を向けたのがCapyの岡田さんだ。2011年京都大学のComputer Science で博士課程を修了し、翌2012年10月にはデラウェア州にてCapy を設立。その時点で日本ではVC業界最大手のJAFCOより1億円の資金調達を完了。2014年にMSV(Microsoft Ventures), 500 Startups , Orange Pub(Paris) と次々に資金調達を完了。岡田さんの世界を変えたい想いを聞いた。

Capy Founder & CEO 岡田 満雄さん

*資金調達先がJAFCO,MSV(Microsoft Ventures),500 Startupsなど星の数ほどあるVCの中でも業界トップクラスから資金調達を行っております。岡田さんのピッチ方法などありましたら教えて下さい。

 戦略的な観点から考えて、業界トップ、2位もしくは、パイオニア的な存在の企業と提携、協業をすることが非常に重要だと考えております。どの業界でもトップにいる企業はやはりそれなりの理由があるわけで、そういった企業と提携をさせて頂く事は我々にとっても大きなメリットをもたらしてくれます。どのVCから資金調達するかというのは非常に重要なのですが、多くのVCを時間をかけて精査するよりは、トップクラスに直接コンタクトを取るようにしています。それで案外うまくいくんですよね。

 ピッチに関して私のやり方は、「まずは正直に相手に伝えること」。良いことも、悪いことも しっかりと伝える事。伝え方は大事だと思いますがそこから生まれる投資家との信頼関係がとても重要だと考えています。

 後は、持ち時間の2/3くらいを自分が話したいことに充てる。残りの1/3時間は
相手を楽しませることを考えていますね。京都出身のなのですが関西人の本質なのでしょうが、残り時間は相手を笑わせることに使っています。ほぼすべった事はないですね。(笑)

 500 Startupsの時は、Founder のDave McClureと数分話をした後、「Do you wanna come to Mountain View?」と聞かれただけで意思決定がされました。
この時は本当に驚きましたが、決まるときはこういうもんなんやな~と思いましたね。

SFのSoMa地区にあるWorkspace galvanizeが米国での拠点

*スタートアップもVCを選ぶべし。というこういうわけですね。

 仰る通りだと思います。私のポリシーとしては、資金調達をお願いする場合も決して 我々のポリシーを曲げないようにしています。こちらの方から条件を掲示させて頂いて「これでよければ出資してください。」という形を取らせて頂いております。

 なので交渉はほぼ過去したことがありません。結果的には決まる時間も早いですし、決まる確率も高いというのが私の考えです。それだけ自分のビジネスに対して自信を持っているという事なんでしょうか(笑)。

galvanize は天井が高く広々とした1階ロビーにはカフェもある

*日本では銀座にオフィスを構えられており、すでに多くの企業への導入実績もございます。そんな好成績の中、いよいよアメリカでのビジネス拡大の時期です。

 もともと高校を卒業して1998年から 米国に留学をしていたのですがそこで学んだ経験が大きく自分の考えに影響を与えたと思います。色々トランスファーも経験し、多感な学生時代をアメリカで過ごしたことも、あり考え方がかなりアメリカナイズされたと思います。(笑)

 この広いアメリカでの生活を通して「世の中を変えられるような人間になりたい」「多くの人に影響を与えられるようになりたい」と感じるようになりました。アメリカの学歴社会にも強い影響を受けて日本に帰国後も大学院へ進み、最終的にはComputer Scienceで京都大学の博士課程(PhD)を修了しました。

 今のCapyのビジネスモデルになる「Capyパズルキャプチャ」などは2010年京大時代の研究プロジェクトから原型を生み出したものです。最初は日本でビジネスを始めたのですが、留学時代の経験からもいつかはアメリカでビジネス展開をしたいと考えていたのでそれは自然の成り行きだったと思います。日本でビジネスを展開してもせいぜいアジアが対象範囲になりますが米国にくれば世界中をターゲットにしたビジネス展開ができますので、学生の頃思い描いた「世界を変える」とぴったり一致したのです。

 また、市場規模の日米の違いも大きな理由です。技術力日本とは比較にならないほど米国の方が圧倒的優位にたっています。サッカーに例えるならブラジルと日本といった所でしょうか。

 業界の企業数、研究開発費用の額、どれをとってもアメリカが上回っていますし、根底にあるのは、サイバーセキュリティに投資をしないといけないという考え方が日本にはあります。日本はハッカーの対象になりにくいのですが、アメリカは市場が大きい分、ハッカーに狙われやすいという事が一番の理由だと思います。

*インターネットビジネス広しといえどもセキュリティ分野にターゲットを絞った理由を教え て下さい。

  当時学生の頃ですが、インターネットがどんどん普及していくにつれてサイバーセキュリティの重要性も高まっていた頃でもありました。JETROさんの資料からもわかるように市場規模もどんどん大きくなっているので「これならいける!」という直感が働いたんだと思います。

 「サイバーセキュリティ」名前の響きもなんかカッコいいですしね。後は単純に「暗号」に興味をもちました。どうやってつくられるんだろうか?シンプルな理由だったと思います。

*これから起業を目指される方へ、アドバイスをお願いします。

 私もアメリカで生活をするようになってから少し日本の事を理解できるようになったのですが、日本の将来性に関してはとても心配をしています。今後日本はどうやって成長をしていくべきなのか?日本には毎月出張で行っているのですが、物価の安さにいつも驚きます。

 これだけ安くものが買えてどうやって企業が利益をだしているのかと。

 これからビジネスをされる方は、最初から世界市場をを視野にいれたビジネスモデルをつくりあげておくことがとても重要だと思います。後は、起業家にそういったマインドがあっても投資家にそういったマインドがないといけないので、視野の広い投資家とタッグを組むこともとても重要だと思います。

 エンジニアの方を募集していますのでもしご興味のある方は、ぜひお問合せ下さい。 mo@capy.me

2011年京都大学博士課程修了 Computer Science 2012年米国にてCapy 設立