サンフランシスコ総領事館は、総領事、総務班、官房班、政務班、経済班 、広報文化センター、領事班、警備に分かれており多くのスタッフが 管内在留邦人、日系コミュニティ活動支援の為に働いている。

日系人の歴史を勉強する姿勢や、シリコンバレーの日本企業調査・活動支援では 素晴らしいフットワークの軽さを見せている経済班の加藤領事に話を伺った。在任期間も2年10カ月となる。公的機関の立場からみた、シリコンバレーの起業家、日本の進出企業について聞いてみました。
* サンフランシスコ総領事館経済班としてベイエリアの経済を中心に日本企業の進出状況など調査をされております。赴任時の2016年6月と現在の市場の状況・変化などはありますか?
「GAFA」や「FAANG」という言葉が 日本のメディアでも最近よく話題になりますが 私がサンフランシスコに赴任してきた2016年は、このようなシリコンバレーのテック企業が絶好調で、カリフォルニア経済、ひいては米国経済全体を牽引をしているというイメージがありました。

ただ最近では、GAFAによる寡占が加速したがゆえに、世界各国でこのようなプラットフォーマー企業に対する規制について議論され始めていますし、プライバシーの問題など様々なほころびも出始めています。そんな中、中国のように独自の閉鎖的な市場を作りだし、米国とは異なる方法でイノベーションを生み出す国もある中、「じゃあ日本はどうするのか」という悩ましい状況に陥っています。

こうやって海外に出ることで再認識することも多いのですが、日本は良くも悪くも安心・安全 で、居心地のよい国になってしまっており(災害などは他国よりも多いですが)、その状況が日本全体のイノベーションを起こす動きを遅くさせてしまっていると感じます。
私が赴任する前の2015年になりますが、現役首相として初めて安倍首相がシリコンバレーを訪問したことをきっかけに、閣僚をはじめとする多くの日本の政治家の方々が頻繁に当地を訪問しています。(総領事館の業務も忙しくはなるのですが…)。
それだけ日本政府も、イノベーションを生み出す仕組みや規制面での対応などに非常に関心が高いと言えます。
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