Intel エンジニアからフードテック起業の道へ

米国国務省によると、米国の水産物市場規模は、1位中国、2位日本についで米国は、3番目の市場規模を誇ると言われている。

アメリカのFish Market,Gorcery Storeでは日本や、インドネシア、ベトナム、カナダ、アラスカといった様々な国から魚が輸入・販売されており、特に日本産としては、ブリ、ハマチ、ホタテなどが米国内の高級料理店で使用されている。True Wrold Foodsなど全米大手の鮮魚貿易会社などでは、築地・豊洲の高級鮮魚をdoor to door で全米のレストランまで空輸で運ぶ「築地エキスプレス」などが好評だ。

但し、米国で働く生鮮業界関係者、寿司レストランなどで活魚を扱うシェフがどれだけ魚に関する知識があるかは疑問。

ましては活魚となれば料理法、保存方法を習得するには高度な知識が必要となる。

どれが新鮮な魚で、どれがそうでないか、魚を傷つけず見た目や手触りだけで判断するのプロの職人でも難しい。

そんな問題を解決する「鮮度を計る装置」があるのをご存知だろうか?

Torrymeterと呼ばれ 0~14までの数値で魚の鮮度を瞬時に測定することができ、魚を傷つけずに機械をあてるだけで測定可能なので多くの関係者が利用している。

そんな機械装置のアメリカ代理店になったのがインテルを飛び出した木村 武夫氏だ。

インテルでエンジニアとして働く傍ら、空いた時間を利用し2014年頃からこの業界に入る。そしてついに2019年2月から起業の道を決心した。

アメリカに来たきっかけを教えて下さい。

7歳のころ父親の仕事の関係で家族でシカゴに転居したのがきっかけです。1982,83年だったと思いますがその後日本には帰国せず、中学、高校、大学とアメリカで過ごしました。

大学はシカゴよりもっと寒いウィスコンシン州の大学を卒業しました。メジャーはECE(Electrical & Computer Engineering)と言いまして分かり易くいうと、電気工学とコンピューターサイエンスが一緒になったようなものでしょうか。(笑)

7歳までは日本人として日本で育ったので、シカゴに来た当初は子供と言えども英語はあまり得意ではありませんでした。(笑)その分、数学は得意でしたので、理系の方に自然に進んだのだと思います。

起業の道を選んだきっかけは?

アメリカに長く住んでいる事もあり、頭の中では、将来は本業(エンジニア)以外の道で「自分でビジネスをしたい」という気持ちはありました。

格好良くいえば「自分で自分の道を開きたかった」というところでしょうか(笑)。誰かが敷いてくれた線路の上を一生懸命走るのもよいのですが、自分で線路を作る仕事がしたかったんです。

エンジニアからフードテックへの道を選ばれるたきっかけは?

実は、たまたま日本のテレビ番組で、ガイアの夜明けという番組を見ていたのですがそこで使われていた、スコットランドのメーカーが作った鮮度を計る機械があってそれがなぜか日本の築地などで使われていたんですよね。

フィッシュファットメーター(日本代理店)面白いと思いませんか?日本の食品に関する安全基準は世界でもトップクラスだ思うのですが、日本のメーカーではなくて、なぜかそこはスコットランドのメーカーだったんですよ。なぜだろうと思って、メーカーさんに問い合わせたのがそもそも始まりです。

テレビでみた商品を気になって、メーカーに問い合わせって凄い力が働きましたね。(笑)

本当にそうですね。こんなのあったら欲しいな、アメリカでも使いたいなと思ったのがきっかけでしたからね。Distell社(メーカー)とやり取りをしているうちにアメリカでは、すでに政府機関と多額の取引をしているのがわかったのです。

でも、アメリカにはレップもいないし、法人もないので、もしそれを立ち上げればビジネスもさらによくなるとうお話をしている段階で、「では私がやりましょう」という事になり米国での代理店契約を結ばせて頂きました。それが2014年2月頃の話です。

実際のプロダクトの紹介をして頂けますか?

約30秒で正確な魚の鮮度を計測できる。Fish Freshness Meter(Torrymeter)

1929年にスコットランド、アバディーン市トリー地区にある旧イギリス農水省が設立したトリー研究施設で開発され、イギリス海軍の為に開発されたものでした。海軍の兵士達が船の上でも新鮮な魚を食べれるように鮮度管理ができる為に開発されたことが由来となっています。

イギリス政府の民営化促進の元、1996年にトリー研究所は閉鎖され、エディンバラ郊外に1991年創立のITのスタートアップである、ディステル社が製品を買い取ったのです。一般家庭ではまだまだ馴染みがないのでこの商品を広めていくのが私の仕事だと思います。

今後のビジネスも展開について教えて下さい。

ディステル社としては、既にアメリカ政府、各州政府といったGovernmentと既に取引実績がありますので、この確立されたB to G ビジネスを更に深化させていきたいと考えております。

後は、民間企業への販売促進もかけながら、アメリカの食の安全に関する認識を各地に広めていけるような活動もできればと思います。業務提携をして頂ける業界の大手と手が組めるかが重要かと思います。

そういた販促を続ける一方、私は、もともとエンジニアとしてバックグランドもありますので、ディステル社の商品開発もしていければなと思います。今は一台数千ドルと一般家庭で気軽に購入できる価格ではなく、政府系、企業向けの商品です。

「ムーアの法則」ではないのですが「より高性能のプロダクトをより安価」で提供できれば、一般の消費者でも気軽に購入ができ、市場に一気に浸透できるのではと考えております。「次世代のプロダクト開発」これが私の当面の目標ですね。(笑)

更に欲をいえば、今後日本の素晴らしい製品やサービスをもっと米国に広げてフードテックやアグリテックにも挑戦していきたいと考えています。もし皆様の中でこれはアメリカでやったら面白いと言うビジネスがあればぜひご連絡おねがいます!!

このビジネスを通して何を実現したいですか?

テック、バイオなど日本のビジネスが周回遅れだ!なんて騒がれていますが「食の安全」に関する基準などは日本が、世界最高水準だと思います。アメリカよりも圧倒的に進んでいますよね。日本の消費者の目が、「厳しい」のが一番の理由だと思います。

企業側もそれを超える商品を提供していかないといけない!というよいスパイラルが出来ています。「食の安全」に関しては、絶対に必要な事ですし、政府は環境問題・食の安全を認識しているのですが、消費者ベースまで広がっていないのが実情です。それをイノベーションを通じて将来的には、食の安全・無駄をなくす・といった社会貢献につながればと考えております。

将来、起業を考えている方に一言お願いをします。

ビジネスを始める前に、自分がやろうとしている事(サービス、製品開発・販売)にどれだけの市場のニーズ・ウォンツがあるかを見極める事が重要だと思います。

ニーズ・ウォンツが既にある市場(こういった製品があれば今すぐにでも買いたい!)であればビジネスは比較的順調にいくと思います。逆に、サービス、商品を先に作って「これを作ったのですが買ってくれませんか?使ってくれませんか?」というやり方はダメだとは言えませんが難しいと思います。勿論、自分がどちらで勝負をしたいかは、皆さんの自由だと思います。あえて難易度の高いビジネスモデルで勝負をしたいかたもいると思いますので・・。

また、個人・小グルーブ(2~3名)でアメリカでビジネスを始めようと考えている人はSBASCOREといったサービスをどんどん利用する事をおススメします。

SF市内に2カ所あるSBA Office

簡単なアドバイスやメンター紹介、弁護士・会計士紹介など無料でしてくれます。私は今でもフル活用させて頂いてますけどね(笑)。

アメリカ、特にシリコンバレーは、優秀なアントレプレナーやビジネスパーソンが多数集まる環境が出来ているので、起業できた事は本当に幸せです。

是非起業を考えている人はいち早く行動にお越して下さい。それでは皆さんお互い頑張りましょう!!

ASSURANT INNOVATIONS

木村 武夫 プロフィール

tkimura@assurantinnovations.com

1999年 University of Wiscosin – Madison  Electrical & Computer Engineering

2000年 Motorola 入社 オースティンにある 半導体部門に配属 

    その後東京、デンマーク、東京と異動しWifi , Bluetooth関連のソフト開発担当

2002年   Altera Japan(日本アルテラの技術部を立ち上げると同時に

2006年 NTK Technologies

2007年 Altera Corporation San Jose アルテラ本社でプログラムマネジメントで転勤 

2014年 Assurant Innovationsを副業で開始

2016年 Intel Corp San Jose (インテルがアルテラ社を買収)

2019年 Assurant Innovations 創業