知らないと損する日米の年金制度 Vol 2 -日米の年金と日米社会保障協定-

皆さん、日米社会保障協定をご存知でしょうか?「聞いた事はあるけどよく知らない。」という方が大多数だと思いますが、

米国で就労している方(永住者、駐在員含む)全てに当てはまる重要事項なので改めてお伝えしておきます。

平成30年10月1日現在、米国で在留届を出している邦人数は、446925人で前年比4.9%のアップという統計を外務省が

発表しております。詳しくは、こちら。

日米社会保障協定は、

①社会保障税の二重払いの回避

②年金の掛け捨て防止

の目的で2005年10月に発効しました。

①は、派遣期間が原則5年以内の米国滞在であれば、日本の年金事務所で予め「適用証明書(Certificate of Coverage)」を取得しておけば、引き続き日本の厚生年金、健康保険に加入継続でき、米国の社会保障税は免除となり二重払いが回避される。

②は、日米の年金の加入期間を、日米の年金受給資格の算定上相互に通算出来るとうもの。

協定が発効されるまでは、日本の企業は派遣社員を米国の社会保障制度に加入させ、一方で日本の社会保障制度にも継続加入させていましたが、この協定が発行されてからかなりの経費負担減となりました。

当時の派遣社員の方の駐在期間は、3年から5年位で折角米国年金制度に加入しても年金受給資格である加入10年(40クレジット)を大半の方がクリアーできず掛け捨て状態となっていました。

そんな中、協定が発効し多くの駐在員経験者にとっても朗報となりました。例えば米国年金に5年間加入して日本に帰国された方も、日本の年金の加入期間を加算することにより受給条件40クレジットをクリアーし、ご自身の支払われた5年分の年金を受給できるようになったのです。

日本の年金受給条件は、2017年8月からは今までの25年間から米国並みに10年に短縮されたのです。

日本の年金に20年間加入していても5年足らず受給に至らなかった方の場合は、米国年金の加入期間をそれに加算することにより25年をクリアー出来て喜ばれるケースもあったわけです。

10年に短縮された以降は、日本の年金加入者にとり米国の年金加入期間を活用して受給資格を得る必要性は薄れたと言えるかもしれませんが、ここで忘れてはならない米国年金加入期間の活用のメリットがあります。

それは日本の遺族年金・障害年金の受給資格はこれまでと同様25年以上の加入期間が必要であるということです。その場合米国年金の加入期間を加算することにより25年以上となれば、遺族年金・障害年金の受給資格を獲得できるわけです。

日本で働かれていたご主人が米国で亡くなられた場合、日本の年金加入期間が少なかったので日本の年金申請を諦めていた方の場合も、米国年金加入期間を加算して日本の遺族年金を受給出来たケースもあります。

周りにこんな方がいらっしゃれば是非教えてあげてください。

また加給年金の受給資格は加入月数240(20年)以上が条件ですがこの期間の計算上も米国年金加入期間を加算することが出来ます。加給年金額は生年月日が昭和18年4月2日以降の場合390,100円ですから決して見落とすわけにはいきません。このように日米の年金は基本それぞれ独立した制度ですが、協定により相互に活用の範囲が広がっています。

2005年に協定が発行されております。最近渡米された方、若い方を中心にまだよく理解されていない方が散見されます。

これを機に日米社会保障協定についてもう一度勉強してみて下さい。知らないと損しますよ。

海外年金相談センター

海外年金相談センター代表

市川俊治