最近、グリーンカードを取得した方が軒並み、SNSでアップする事が日常になったようにトランプ政権に移行してからも日本国籍保持者のプロセスは、順調に進んでいるようだ。
そのグリーンカード保持者に待ち受けているのが、5年後に市民権を取得するか否かという選択肢であるが、その判断の一つとされる、年金の観点から考えてみよう。
正しい情報が伝わらず、米国年金受給者の方が困惑されているテーマである「米国外に滞在した場合の米国年金受給への影響」が今回のテーマだ。
問い合わせが多い相談の一つに、日本帰国に際し米国年金が引き続き支給されるかどうかソーシャルセキュリティー(SS)オフィスに問い合わせたところ、次のような回答であったが本当かというものです。
「米国を6ヶ月以上離れると米国籍者でない限り米国年金は支払われない」
「日本でも継続して米国年金を受給できるが、6か月毎の米国入国が条件である」
「米国年金は、米国籍があれば100%支給されるが、グリンカード保持者の場合は25%減額される」
「米国籍者やグリンカード保持者以外には米国年金支給は支給されない」
こういったSSオフィスの回答はすべて間違いです。残念ながらこの様なSSオフィスのいい加減な対応は、全米に及んでいると思われ、しかも、かなり以前から現在まで繰り返されています。
米国年金の受給資格を維持するため仕方なく米国籍を取得された方が少なからずいらっしゃいます。
現在も年金のために米国籍を取得してしまったと残念がる方が引き続き発生しています。
何故このようなことが生じてしまうのかについて考えて見ましょう。
米国SSA(米国社会保障庁)は米国外滞在者に対する米国年金の支払いについて
What happens to your right to Social Security Payments when you are outside the United States?という問いに対して、次の様に説明しています。
(1)米国籍者の場合、受給資格さえあれば米国外に滞在していても米国年金
を支払います。(つまり原則、米国籍でないと年金は支給されないということ
です)但し、あなたが次の国の国民であるなら、米国外にどれだけ滞在しよう
と、受給資格さえあれば米国年金は引き続き支払われます。
(例外国)日本、オーストリア、イスラエル、フランス、韓国等21カ国
(2)あなたが米国籍者でなく、日本、フランス、メキシコ、ブラジル等77
カ国の国民である場合、6か月以上米国外に滞在した場合、次の例外国を除き
、米国年金の支払いは米国を離れた6か月後にストップします。
(例外国)現在、米国が社会保障協定を締結している国 日本、オーストラリア、フランス
、韓国等21カ国。
以上から、日本国籍者は米国外に住んでいても米国年金の受給資格さえあれば、米国年金を受給できるということです。
そして年金受給者の当惑の原因は、SSオフィスの担当者がこの例外規定を理解しないまま原則だけを相談者に伝えた結果ということです。老後の生活の基盤である年金の制度については、正しい理解のもとに対応してもらいたいものですね。
次回、ソーシャルセキュリティーオフィスに問い合わせをする際は、これらの知識を持ってから問い合わせしてみましょう。
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