LAの起業家、S cubed 須藤 潤

以下のデータは、米国の都市別起業家数ランキングと過去3年間でRevenueがどれだけアップしているかを示している。

1San Francisco. 3-year revenue growth 413% 

2Austin. 3-year revenue growth 259%

3New York City. 3-year revenue growth 197%

(参照元はこちら。)

起業家が集まりやすい要因として須藤氏があげるのが「プロキシミティ」だ。

シリコンバレーなら、テック・バイオ、ニューヨークならファイナンス、LAであればエンターテイメント・宇宙・航空、自身が身置く業界が集まる都市に拠点を置くのがビジネスを成功させる一つの要員だと言う。

今回は、起業数でトップ 7にランクインしているLAの起業家、S cubedの須藤 潤さんに話を伺った。

LAに拠点を構えるが、シリコンバレーにあるシンギュラリティ大学のGlobal Impact Challengeで入賞しインキュベーターに参加する等、シリコンバレーにも強い人脈を持つ須藤さん。起業して今年で16年目を迎えるベテランだが、チャレンジを続ける姿は、多くの起業家のお手本にもなっており、各地で講演なども行っている。

 -須藤さんが米国の大学を卒業し、KPMGでの社会人生活(サラリーマン)をスタート。その後、起業家になられた経緯を教えて下さい。

人生150年時代の到来、一つの会社でキャリアを積むのが最大のリスク」

サンフランシスコの大学を卒業してまず、入社したのがKPMGでした。監査業務で5年間、その後コンサルティングに異動して7年。

私が働いていた時代は、Y2K問題エンロン破綻、が起こるなど企業のリスクマネジメントが叫ばれる時代で、KPMGではリスクマネジメントのコンサルティング業務をしながらも、自身のキャリアのリスクマネジメントも気にするようになり始めました。

エンロン破綻直後、1934年の証取法以来のガバナンス一大改正法と言われるSOX法(サーベーンオックス法)の影響で、会社でのコンサルティングサービスに制限がかかり始め、クライアント目線での業務よりも自社のリスクヘッジを考なければならなくなったのです。

そうした会社の変化に自分の求めるコンサルティングの思想との解離を感じ、一つの会社でキャリアを積むのが最大のリスクという結論に至り、起業の道を選ぶ事にしました。

「自分でやる事の価値」

起業を決めたのも、KPMGを退職する2ヶ月程前だったと思います。パートナーを一人見つけて、オフィスはvirtually everwhereでした。KPMG時代もそうだったのですが、この業界では、殆どオフィスも使う事はないのでバーチャルで大丈夫だろうと。(笑)

私の母方の家系が、自分でビジネスをする人達が多かった事もあり、起業をする事に対する敷居はとても低かったんだと思います。

大企業で働くメリットも確かにあるのですが、起業をする事によって「自分でやる事の価値」を見出す事の魅力の方が大きく感じたのがきっかけでした。

迷いはなかったですね。「どうにかなるでしょう」という楽観的な自分の性格もあったのかと思います。

「起業して最初の3年」

起業当初は、比較的スムーズに行きました。KPMG時代のクライアントさんもある程度ついてくれた点で、財政面で問題なかったのですが、とにかく創業当時から忙しかった。KPMG時代とさほど変わらなかったんじゃないですか。ちなみにKPMG時代は睡眠3時間という日もざらでしたけど(笑)。

起業して3年位して落ち着いたらインドに旅行にでも行ってゆっくりしようと思っていたんですが、実際に実現できたのは、創業から10年後の2014年でした。(笑)

「同じ仲間を見つける事の大切さ」

私がコンサルティング業務に関して一番大切にしている事は、同じ気持ちを持っている仲間(Team)作る事が大切だと思っています。

コンサルティング業務は、様々なプロフェッショナルサービスを提供していく事が大事。

その為には、同じ業界や同じ志を持った仲間をいかに多く知っているか、それによって、自分のビジネスにも幅ができると信じております。

-マウンテンビューのNASA Ames Research Centerにあり、現在はサンタクララに移転しているシンギュラリティ大学(Singurarity University)のインキュベーターにも通われました。

ここ数年、「エクスポネンシャルテクノロジー Exponential Technology」(和訳:指数関数的技術)という言葉や「エマージングテクノロジー Emerging Technology」(和訳:新興技術)という言葉をよく耳にすると思いますが、シンギュラリティは2008年にPeter Diamandis(Xプライズ財団CEO) とRay Kurzweil(脳科学者・発明家)によってNPOとして設立されました。

その後2012年からB Corp(bベネフィットコーポレーション)になったですが、10年間で世界10億人の生活を向上させる人材やスタートアップを育成/社会課題を解決できる人材を育成する目的で作られたユニークな教育機関です。

シリコンバレーでは有名な教育機関なのでご存知の方も多いと思いますが、スタートアップ関連の企業から、Forbes 500に名を連ねるエグゼクティブまで世界中から人が集まっています。

この大学で学べる一番のベネフィットは、最新のテクノロジーの理解や指数関数的(エクスポネンシャル)思考、アバンダンス思考の習得で得る脳のアップグレード・アップデート。

そして二番目のベネフィットが、大きな社会課題を解決することでValueを生み出すと言う社会起業家精神を学ぶことができる事です。

他にもシリコンバレーの人脈は勿論ですが、ブラジルやニカラグアをはじめとした、グローバルな起業家とコネクションを作る事ができました。

プログラム期間は、長くても8週間程度で Fortune500のエグゼクティブが短期間で受けられる様な1週間のプログラムも用意されております。

Tution(授業料)も1週間で$15000程度(当時)とかなり高額ですが、世界中から優秀な人材が集まり、グローバルな思考を得る事がでる。卒業生のネットワークが強いので先行投資と考えれば、問題はないと思います。

「10億人の生活を10年間でよくする」と言う大きな目標を掲げて活動しているのでプログラム終了後も起業家やエグゼクティブがサポートしあいながら、ビジョンの実装を続けていけるようになっています。

実は、世界的に見ると約180程のチャプターが開設されていて、私も京都のチャプターのアンバサダーを現在しています。

-LAらしい大胆でSFチックなイノベーションプロジェクトをXPRIZE財団とコラボでプロデュースしたと聞きましたが?

そうですね、Abundance(潤沢で全ての物が満ち溢れる豊かな社会を創造する)の思考で有名なテクノロジーフィランソロピー集団のXPRIZE財団とのコラボで、移動の定義を変えるような未来のテクノロジープロジェクトをプロデュースする機会に恵まれました。

XPRIZEは、先日上場したVirgin Galactic の起業のコアになる再利用可能の宇宙船テクノロジーの開発を達成させたことで有名で、今の宇宙関連スタートアップブームをスタートさせた財団として有名です。

2004年の成功以来、水、貧困、健康医療、環境、海洋、宇宙などGlobal Grand Challenge(世界の大きな課題)を20億円、30億円など高額なグローバル賞金レースで科学技術のブレークスルーを促進させるプラットフォームです。

Avatarという遠隔操作可能な人型ロボットシステムを開発し、世界の人々の間の「距離」、「時間」、「文化」の壁をなくすテクノロジーを開発する総額$1000万(約11億円)ドルのグローバル賞金レースをデザインし、ANA(全日空)にスポンサー頂き2018年のSXSWでローンチすることができました。

CNBCの関連記事はこちら。  

BRIDGEの関連記事はこちら

ピンとこないかもしれませんが、このテクノロジーを使うと自分の家にいながらエベレストをAvatarロボットを使って登頂したり、アフリカのサファリを走ったりすることも可能になること、宇宙や深海の探検も可能になります。

社会課題解決と言った意味でも災害時のレスキューなど危険な場所での作業や、新興国での医師不足を補うことなどスキルの瞬間移動で課題解決や労働機会の創造にも繋がる「Limitless」な可能性を秘めているんですよね。

なんか、ハリウッドのSF映画っぽいですよね、発想が。

公式動画はこちら。

-シリコンバレーとLAの違いをどの様に感じますか?

シリコンバレーの強さは、プロキシミティ(proximity)にあると思います。世界中から多くの人材、情報が集まる場所は、今の所他にはないでしょう。

LAの一番大きな特徴としては、思考のダイバーシティですね。シリコンバレー的なテックで成功しようと言う思考を持つ人ばかりではなく、様々な社会経済環境にある人々が混在していることで想像を越えたクリエイティビティが日々生まれているのが私がLAに拠点を構え続ける最大の理由です。

みなさんご存知のSnapchatも Stanfordの卒業生が起業していますが、LAに拠点を置いているのもこの文化的、思想的なダイバーシティを狙ってのこと。

実はLAの方がシリコンバレーよりも多くのBillionaireが住んでいて、Engineeringの仕事の数もシリコンバレーをしのいで全米1だったりします。自分がどういうライフスタイルや業界をターゲットにするかで自ずと拠点を決めるのが良いのかもしれません。

Here are the five U.S. cities with the most UHNW individuals

  1. New York City: 8,865
  2. Los Angeles: 5,250
  3. Chicago: 3,255
  4. San Francisco: 2,820
  5. Washington, D.C.: 2,735

(参照元はこちら

-最後に起業を考えている若者にアドバイスをお願い致します。

まずは、やってみるのが大切なんだと思います。思っていても踏み込めない理由が個々にあるのだとは思いますが、問題を解決しながら一歩ずつ前に進んでいくのが重要なのかと。Why?よりも、Why Not?に重点を置いてみては如何でしょう。楽観的な方は、良いのですが、慎重派の方であれば、周りで起業している方に話を聞いたり、スタートアップで働くのもオススメです。

起業するとよく聞かれるのが「リスクありませんか?」という言葉。万一思い通りに進まなかったとしてもそれは、失敗ではなく成長の過程と考えると気が楽ですよ。

ぜひ、初の一歩を踏み出して見てください。

須藤 潤 プロフィール

2004       S Cubed Consulting  CEO Solution Curator     

2016       d.wi(th)K.K.

2018       Importable Art Thinking

2018       AIMed Asia Advisory Board

2018       Singularity University

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