薬ではなく食べもので健康な心と身体を作る予防内科医 兼 起業家 関 由佳

ほとんどの病気の原因は「ストレス」と「生活習慣」

 もともと10代の頃から食べるものに関してはこだわりがあって、ファーストフード店には行かなかったし、インスタント食品も食べていなかったのですが、中学生の時に受験のストレスと、知識のない無理なダイエットでホルモンのバランスを崩してしまい、月経が止まってしまいました。

子宮や卵巣に問題はなかったのですが、女性ホルモンの値が低く、補充するために薬を飲み続けなくてはならなくて、それが嫌で。なぜなら薬は症状を誤魔化すというか、対症療法なんですね。

薬によって生理を起こさせていますが、根本的に治っているわけではないのです。医学部に入った後でも薬の作用機序とか、症状を抑える方法を勉強するだけで、もっと深い部分の「どうして人は病気になるのか」は教えてくれませんでした。

その時に一冊の本に出会ったのです。それは医師が健康に生きるための食事の仕方とそのレシピを紹介しているものだったのですが、この本を読んで私はこの分野に進もうと決心しました。

医者は病気のプロであり、健康のプロではない

 医学部では、1年目は全科を回って、2年目で自分の専門を決めるので、私は一番食べ物に関係している糖尿病科を選ぶ事にしました。当時の教授に、「私は食べ物で患者さんを治して健康にして行きたい」と伝えたところ、「それは、医者の仕事ではない。医者は薬で病気を治していくものだ」と言われました。

「しかし、あなたは間違ったことは言っていない」と後押しをしていただけました。そこで私の目指している事は、医局では学べないと感じたのですが、3年目で認定を受けることが出来るので、それまでは頑張ろうと決めたのです。

その後に東日本大震災が起こったのです。2011年3月ですね、ちょうど大学院に行くのか医局に残るのか進路を迷っているところでした。

震災後の混乱の時に、目の前の糖尿病の患者さんは薬があるかを心配をしていて、そもそもこの薬は本当に必要なのか、本来は飲む必要のない減らして行きたいと強く感じた頃でした。

そしてやはり私は薬ではなく、食べ物で病気を治す療法にすると決め、医局をやめて治験をしているユニークな糖尿病専門のクリニックに勤め始めました。

糖尿病は食べ過ぎが原因ではない、栄養素のバランスだ

 そのクリニックは診察時間が長く取れたので、私はまず患者さんが今までどのような食生活をしていたのか、ヒアリングの時間をしっかり取りました。

そして、多くの患者さんが、食べ過ぎで病気(糖尿病)になっているわけではなく、体の機能を果たすミネラル、ビタミン、たんぱく質といった栄養素が足りていないことが原因であると気づいたのです。

 現代人の多忙な生活では仕方のないことだと思うのですが、つい朝はパンにコーヒー、昼はコンビニのおにぎりでさっと済まし、夜は仕事で遅くなってしまったのでラーメン店しか開いていない、といった具合に「白い炭水化物」中心の食事になってしまっている人がとても多くて。

これは、どの患者さんも知識があれば防げたわけです。

 当時私は、栄養学の勉強をしていてアメリカのゾーンダイエット法(糖質の質と量を変えて糖質をコントロールする食べ方で、炭水化物40%、タンパク質30%、そして脂質30%という割合がゾーンダイエットが推奨する割合。)に興味があり、それを患者さんにお伝えしたのですが実践した人としない人では大きな差が出て、採血の度に目に見えて改善が見られました。これは、治る人がたくさんいる!と、私にとって大きな自信になったのです。