欧米でコリビング(Coliving)という言葉が使われ始めたのが2010年後半。ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、LAといった大都市を中心に、シェアハウスやコーワーキングスペースの両方のメリットを組み合わせたビジネスモデルが誕生している。
アメリカでは、順調にその市場規模を伸びしておりGloves Stによれば2019年の時点での米国市場は既に、3億ドルに急増したと伝えられている。
市場規模拡大の追い風の一因と考えられるのが一般家賃の高騰だ。米国オンライン不動産大手 Zillowのデーターによると、サンフランシスコの一軒家の相場は、平均で$1,447,191(2020年1月31日時点)とリーマンショック後の2012年からほぼ倍増となっている。
米国のより多くのミレニアム世代は、大不況以来、10年以上にわたる好景気にもかかわらず、両親と一緒に暮らしているとういデータがPew Research Centerから発表されている。
その理由の一つとして、米国の約7割の学生が巨額な大学ローンを抱えており、2018年時点での平均額は学生一人当たり$35,359。その額は年々増加傾向にある。
全体の7割の学生が多くの借金を抱えながら社会人になるのは、米国特有の構造と言えるだろう。(Investopedia調べ)
しかし、独立心の強いミレニアム世代の中には、アパートを借りて一人暮らしを始める者もいる。そうした若者を対象に、コリビング市場が形成されていった。
OpenDoor(2013/OAK)、PodShare(LA)、Common、(2015/NY)、Thecollective(LON)、Olle(NY)、Welive(NY/)などのコリビング関連のスタートアップ企業が毎年続々と多く誕生してきた。
シリコンバレー発のスタートアップでとして有名なのがサンフランシスコに拠点があり、ウーバーの初期投資家であるJason Calacanis(ジェイソン・カラカニス)氏から投資を受けている内藤 聡氏が運営するAnyplace(2017/SF)だ。
ホテルの部屋を居住用に月単位で貸すサービスを展開しており、コリビングとはやや異なるビジネスモデルだが、5月12日付の日経新聞記事によると、530万ドルの資金調達を完了。サービスエリアを現在の23カ国70都市から5割増やし、年内に100都市以上に広げると発表した。
詳しくは、こちら。
一方、日本市場に目を向けると、欧米とは異なる形ではあるが、ミレニアム世代を中心に人気となっており、市場規模も年々拡大している。
今回は、長崎に拠点を持ちながら世界展開を狙うHafH プロダクトを運営するKabuk Styleの共同創業者、大瀬良 亮氏にインタビューを行った。
ちなみにプロダクトのHafHの由来は、Home away from Home(第2のふるさと)だ。

大瀬良氏は、2019年9月に電通を退職。地元長崎に”現代の出島”を作ると決意し大学時代に知り合った砂田 憲治氏と二人でKabuk Styleを創業。
2007年筑波大学を卒業し電通に入社。2012年〜15年では高知県のプロモーション担当とし「高知家」のブランディングを担当。その後2018年までは、内閣官房・内閣広報室に出向。訪れた国はのべ世界71ケ国。移動距離は世界15周に相当するという。
その大瀬良氏が、安定した大企業キャリアを捨て、起業の道に進んだ。地方創生とグローバリゼーション掛け合わせて出来上がったプロダクトが HafHだ。
拠点を地元長崎に構えたのも、長崎というふるさとが、可能性に溢れていると感じたから。彼の姿は、海援隊の前身となる亀山社中を長崎で作った坂本龍馬のようだ。