知らないと損する日米の年金制度Vol11-日本の公的・私的年金改革法成立 その2

 

2020年5月に成立した日本の年金改革法で公的年金に関して主たる改正点(4項目)の中で繰り下げ受給の上限年齢延長(70歳から75歳)を前回7月20日に説明しましたが今回はその続きです。

前回の記事をまだ読んでいない方は、こちら

1.繰り上げ受給の減額率の変更(0.5%から0.4%に緩和)

 公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、それを待つことなく早く受給したい場合は最大60歳まで繰り上げて受給することが出来ます。年金額は1ヶ月繰り上げるごとに0.5%減額されるので、60歳まで60ヶ月繰り上げれば30%減となります。

今回その減額率が0.4%に縮小されます。60歳まで繰り上げると減額率は30%から24%に緩和されます。

多くの国民の方が、繰り下げより繰り上げを選択される方が多いのが現状です。

しかし繰り上げは早くもらう代わりに一生年金額が減額されます。加えて例えば老齢基礎年金を繰り上げた場合、障害基礎年金の請求が出来なくなります。

女性の場合、繰り上げた後に会社員だった夫に先立たれると、妻は65歳になるまで老齢基礎年金と遺族年金を合わせて受給することができず、どちらか一方を選択する必要があります。等々のデメリットも多くありますので注意点をよく理解した上で選択する必要があります。

2.65歳未満の在職老齢年金の減額基準変更(28万円から47万円に緩和)

 年金を受給している人が会社員などとして働き一定額以上の収入を得ると、年金額が減額されたり停止されたりすることがあり「在職老齢年金制度」と呼ばれています。

現在60歳から64歳では、月収と厚生年金の合計が28万円(基準額)を超えると、超えた金額の半分が厚生年金から減額されます。

これが20224月以降は基準額が47万円になり、これにより減額される人が大きく減少します。まさに今回の年金改革法の狙いの一つである働く高齢者の年金を減りにくくして高齢者の就労の支援となるわけです。

65歳以上の在職老齢年金の基準額は現行通り47万であり、それを超えると減額が始まります。

米国年金も受給者が働いていると一定額以上の収入がある場合、年金が減額されますが、Full Retirement Age(現在66歳)以上の受給者への減額はありません。それに反して日本は、一定額以上の収入ある年金受給者は年齢に関係なく何時までも減額が続きます。

3.65歳以降も厚生年金に加入継続するなら在職中でも毎年年金が増える「在職定時改定」制度導入

厚生年金は長く加入するほど年金額は増加します。しかし現在は65歳以降、厚生年金を受給しながら働いている期間は厚生年金の年金額に変化はなく、退職するか70歳になった時点で再計算をして増額する仕組みになっています。

改正後は年に1回、年金額の再計算を行い年金額が増額される仕組みに変更されます。これにより働き続ければ年金額は増額することが実感されやすくなるわけです。以上が今回の年金改革法の主たる改正点の説明ですが、施行時期は2022年4月ですのでご注意ください。

 

 

海外年金相談センター

代表 市川 俊治

 

 

 

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