日本の多くの自治体が海外都市との連携を図るため、独自事務所の設置や出先機関への派遣、ならびに業務委託を積極的に行っている。
米国では9都市に12の自治体が、事務所や出先機関への社員派遣ならびに業務委託を実施しているようだ。
筆者の住んでいるシリコンバレーだけをみても静岡県が、スタンフォード大学に職員を派遣。福岡県も米国サニーベール市にあるプラグアンドプレイ内に事務所を構え福岡県内の企業と、シリコンバレーの企業の架け橋事業を行っている。
こうした自治体の動きは日米の歴史に依存するが、特にここ数年の動きが活発になった理由の一つとして、日本の首相として初めて米国議会の上下両院合同会議で演説をした安倍首相が、2015年4月30日、5月1日とシリコンバレーを訪問した事が大きい。スタンフォード大学、テスラ、フェイスブックを訪問した後、5年間で200社の日本の中小企業をシリコンバレーに進出させる「架け橋プロジェクト」を掲げたのだ。
今年で5年目にあたり、経済産業省・JETROが共催してきた「始動 Next Innovator 2015」「飛躍 Next Enterprise」も大きな成果を上げており、過去5年間で約600名の起業家が活躍している。
米国に拠点を構える12の自治体の中でも最近積極的な動きをしているのが、神戸市(神戸シアトル・シリコンバレービジネスオフィス )代表の 永峰 正規氏だ。
関西を代表する自治体でもある神戸市は、1957年10月21日に米国・ワシントン州シアトルと姉妹都市を結び過去様々な国際交流事業を実施。
その6年後の1961年にはシアトルに事務所を設立している。2015年からは事務所の役割をIT関係起業家支援育成、米国スタートアップの神戸誘致に集約し、2019年5月8日にはシリコンバレー(サンフランシスコ)にあるWe work内にもオフィスを開設した。
神戸シアトルビジネスオフィス・シリコンバレービジネスオフィス

シアトルとシリコンバレーの両地から神戸への企業誘致を徹底していく「本気度」が証明された形だ。
しかし「起業の聖地」とも言われるシリコンバレーは、家賃・人件費の高騰、朝晩の渋滞ラッシュが激しくなっておりポートランド、シアトルに移住する人達が後を絶たない。
シアトルへの転入率は、サンフランシスコ・ベイエリアが7.57point、ニューヨークが5.77point、シカゴ4.27pointの順となっおり、転出率を大幅に上回っている。
参照:日本経済研究センター
現在は、コロナ禍の影響で出張も控えているが、バーチャルでの活動に切り替えてシアトル・シリコンバレーと神戸を結ぶ活動に力を入れる永峰氏に話を伺った。