2012年以来、FRBならびに各国中央銀行は、前年比2%の安定したインフレ率を目標にしており、2020年には長期的に平均2%になるよう政策を調整している。(短期的には2%を超えることも容認)
一方、コロナ禍で跳ね上がった米国のインフレ率は今年6月に3%まで低下。その後も最も小さな上昇となり安定感を見せ始めている。 新規雇用の減少と持続的な賃金上昇による労働市場の逼迫と相まって、FRBは6月の利上げを見送った後、7月に0.25%の利上げに再度踏み切った。 今年5 月の時点でも他の G7 諸国と比較すると、米国は依然として良好な成績を収めている事が以下のグラフからも分かる。
例えば、英国のインフレ率は5月末時点で7.9%に到達。 また、G7加盟国の中で唯一、前年比インフレ率が前月に比べて上昇した国でもある。 比較的高い食料価格とエネルギー価格がこの上昇の主な理由であるが、これら2つの特に変動の激しいセグメントを除いても、インフレ率は6.5%にとどまり、ドイツ、米国、イタリアよりもかなり高く、G7全体を上回っているのが特徴だ。
食料品価格の上昇、エネルギー価格の下落が、家庭用燃料価格に反映されるのに時間が掛かっておりこれらが高止まりしているのが主な要因と考えられる。
ロンドンでは、らーめん一杯2600円、サンフランシスコでは、ビーフうどんが2740円と「円安とインフレのダブルパンチ」となっており、日本から移住したばかりの方は住みにくく感じるだろう。
世界中の大都市で特にインフレが顕著に進んで為、多くの人々は、より物価の安い地方に移住している。米国では、テキサス、フロリダ、アリゾナ等が、大都市からの流入を迎えている。
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻によって煽られたエネルギー危機に関しては米国、カナダ、日本では、エネルギー価格が前年比8~12%下落したようだが、サンフランシスコでは、通りのガスステーションでは1ガロン$5.09と肌感覚では、高止まりしているというのが率直な所であろう。
一方、中国はデフレへの道を進んでおり、5月のインフレ率は0.2%で、6月にはゼロ%に達する可能性が高いと言われている。 生産者物価指数も4.6%下落し、前年比で7年ぶりの大幅な下落となった。 これらの指数の推移を総合すると、需要の鈍化と経済が人民共和国のゼロ・コロナ政策からの回復に苦戦していることを示唆している。
インフレが落ち着きつつ、景気後退に陥らないG7と、デフレに苦しむ中国という構図が浮き彫りになっているようだ。